責任者自ら学び直し。プログラミングスキルをマーケティング業務やエンジニアとのコミュニケーションに活用

受講前まで、マーケティングの責任者として実行までのスピード感や組織のあり方に課題を感じていた友澤さん。エンジニアとの接点が多い自分こそエンジニアリングを学ぶべきだと考え、Yahoo!テックアカデミーを受講いただきました。マーケターがエンジニアリングを学ぶ意義についてお話を伺いました。

1分でわかる記事要約

  • 受講理由:
    マーケター側のスキル不足が原因で実行までに時間がかかっていたこと、事業部とIT系の部門間の縦割りの壁をなくしたいという思いから、自らがエンジニアリングを学ぶべきだと感じ受講。
  • 受講の感想:
    現役エンジニアのメンターが初心者にもわかりやすく解説してくれたので理解が深まった。手を動かしてみて普段エンジニアがしている仕事は難しいのだなと改めて実感した。
  • 受講後の変化:
    元々業務で使うことがあったJavaScriptに対する抵抗感が減った。ある程度知識が身についたことで、エンジニアとのコミュニケーションする上で説得力が増すことを期待する

お話いただいた方

友澤さん(51) 2021年に東京海上ホールディングス株式会社のデジタル戦略部シニアデジタルエキスパートとして入社。現在はグループ会社のイーデザイン損害保険株式会社に出向し、CX推進部CMOとしてCMやプロモーションなどマーケティング全般の業務に関わる。
※尚、記事の内容はインタビュー当時の情報です。
※2023年10月より、Yahoo!テックアカデミーからLINEヤフーテックアカデミーに名称変更しております。

マーケターこそプログラミングを学ぶべきと考えた

ーー現在のお仕事内容について教えてください。
CMO(最高マーケティング責任者)としてCMなどのプロモーション、アプリケーションやWebサイトの制作に関わっています。 これまでプログラミングを学んだことはありませんが、以前は日常の業務でSPSSという統計解析ソフトウェアを使ってデータ分析をしたり、SQLというデータベースのアクセスや定義をおこなうための言語を使ってデータを抽出することは日常的に行っていました。
パートナー(代理店やデータ分析者など)と事業課題をデータ・ドリブンで解決することに従事していますので間接的にはさまざまなデータやアプリケーションには触れています。

ーー業務においてエンジニアとのやり取りすることはありましたか。
はい。これまで色んな会社でマーケターとして働いてきましたが、どの会社でも日常業務でエンジニアとやり取りすることが多かったです。 具体的には、アプリケーションやWebサイトを作る上での相談や、インターネット広告の計測タグの相談、Webマーケティングをする上で必要となるJavaScript(※)の相談、データ抽出の依頼などあらゆる業務において、マーケターとエンジニアの間でコミュニケーションが発生します。

※JavaScript(ジャバスクリプト)はWebサイトやシステムの開発に使われているプログラミング言語。Webページ上での動的な情報や、ユーザーのアクションに対するレスポンスなどで使われる。

ーーエンジニアとのやり取りが多い中で、課題として感じることはありましたか。
受講する前から大きく2つのことが課題としてありました。

1つ目は、マーケター側のスキル不足が原因で実行までに時間がかかってしまうということ。 エンジニアはマーケターなどの事業部門側の依頼を元にシステムを開発したり、実行することが多いと思います。ただどんなに良いアイデアや、やりたいことがあっても、要件定義が正しくできていなかったり、現実を無視してマーケターが理想論だけを語ると上手く物事が進みません。 マーケターとエンジニアの間にITコンサルの方が入ってくださることも多いのですが、コンサルやエンジニアの意見を待ってから進めるとなると、どうしてもやりたいことを実行するまでのスピードが落ちてしまいます。 アドテクが進化したり、マーケティング系のソリューションが数多くできて一見するとシステムエンジニアリングの知識なく開発や改修ができているように見えても、実際は中身を理解できていないとコンサルの翻訳が正しいかは一切わかりません。 マーケターもエンジニアのように要件定義の何が良くないのかを理解することができたり、能動的に別の手段を提案できたり、議論できるようになるだけで、実行・実現に至るまでのスピードが格段に上がるのではないかと思っていました。

2つ目は、部門間の縦割りの壁をなくしたいと考えていたこと。 これまで多くの企業を経験しましたが、エンジニアがいるIT系の部門と、営業やマーケターなどがいる事業部門でお互いがもどかしさや不満を持つというケースを何度も見てきました。 エンジニアのいるIT系の部門は使っている言語や物事の視点が事業部側と異なるため独自路線になってしまい、事業部門側も依頼に対してすぐ対応してくれないと組織のせいにしてしまう・・・ということが多いと思います。 そのため両者の溝が埋まらず、部門ごとの縦割り構造になり、連携が取りづらくなってしまいます。

私は、このコンフリクトやハレーションの大きな原因がお互いの部門の共通言語や業務の理解ができていないことだと考えています。 この縦割り構造をなくすためには、現場の人よりもまずは部門の上に立つ人間が互いの言語や業務理解をし、双方のコミュニケーションをしやすくする必要があると考えていました。 お互い横文字の専門用語を使ってその場では分かった気になっても実際は通じ合えていないことがあります。こうしたコンフリクトは非常に不運ですし、十分解消できると考えています。

そのような2つの課題をなくすべく自身がまず学んでみようと思っていたところ、SNS経由でYahoo!テックアカデミーを知りました。 エンジニアが普段触っているシステムやプログラミング、エンジニアリングについて理解する良い機会だと思い受講を決意しました。

実際に手を動かしてエンジニアの大変さを実感

ーーYahoo!テックアカデミーでの学習はいかがでしたか。
受講してよかったです。特に現役エンジニアとの週2回のメンタリングがよかったですね。担当のメンターの方の言葉の選び方が丁寧で、初心者の自分にもわかりやすい説明で解説していただきました。カリキュラムも簡単ではありませんでしたが、ちょうどよい難易度だったと思います。 唯一、チャットでの質問は完全に上手く使いこなせなかったなと反省しています。初めの方はこんな質問をして良いのだろうかと考えてしまい、質問することに躊躇してしまうことが多かったです。実際にチャットを使ってみるとメンターさんからすぐに回答してもらうことが多く、もっと早く質問すればよかったなと感じることもありました。

ーー4ヶ月の学習期間でしたが、学習に対するモチベーションは維持できましたか。
はい。カリキュラムの課題提出に対するメンターさんからのコメントが毎回嬉しくて、モチベーションにつながっていたように思います。 課題に合格した時も、毎回「合格おめでとうございます」というテンプレではなくメンターさんの個性が伝わるメッセージで、自分のためにコメントしてくれていることが嬉しかったです。オンライン学習は一人で学習する時間が長い分、メンターさんとのコミュニケーションがあったのは大きかったかもしれないですね。

ーー受講期間中、お仕事も忙しかったと思います。普段学習はどのタイミングでされていましたか。
平日の業務の前、早朝5〜6時に起きて学習することを習慣化していました。朝進めてわからないことはカリキュラムを飛ばして進めて、チャットや週2回のメンタリングの時間に解決するようにしていました。土日も時間を作って課題に取り組むことが多かったです。

ーースケジュールは想定通りに進みましたか。
途中でパソコンがクラッシュするハプニングが起きてしまったのは想定外でしたが、それ以外は想定していた通りに進みました。後半の個人演習のために時間を多く残すようにしていたので余裕を持って進めました。

ーー苦戦したことはありましたか。
カリキュラム前半のWebアプリケーションが一番難しかったです。しかし元々受講前からWebアプリケーション開発がやりたかったので、特にモチベーションは下がりませんでした。 あとはカリキュラムの終盤にある個人演習に取り組み始めてから感じた大変さもありました。指定されたシステムを開発するのですが、手を動かしてみて普段エンジニアがしている仕事は難しいのだなと改めて実感しました。 実際に触れてみないとわからないことも多いので、上に立つ人もプログラミングを理解するべきだとより強く感じました。

プログラミング言語に対する抵抗感が減った

ーー受講後の変化はありましたか。
元々業務で使うことがあったJavaScriptに対する抵抗感が減りました。やはり難しいなと感じることは多いのですが、受講前までの気持ちより前進したように思います。 あとはこれまでは自分には関係がないと自分ごと化できなかったこと、興味がなかったことをより身近に感じられるようになりました。新しい知識が増えたことで興味の幅が広がったと思います。 ちょうど受講期間中にChatGPT(※)などの生成AIが世の中に広がったこともあり、メンターさんとのメンタリングで、「ChatGPTがあれば我々はプログラミングを学ぶ必要がないのか?」という話になりました。

※OpenAI社が2022年11月に公開した人工知能チャットボット

私はChatGPTが浸透してもプログラミングを学ぶ必要性はあると考えています。なぜならChatGPTはこちらのオーダーに対して、一見それっぽい見た目のコードを出してくれますが、システムがどう動いているかなどの知識を持っていないとそれが正解なのかを正しく判断できないためです。 ChatGPTをはじめ新しい技術やツールをマーケティングの日々の業務に活かしていく必要があると考える一方、ビジネスとしてお客様に提供したり扱うのであれば責任も伴うため、マーケターも正しい知識を学ぶ必要があると思います。 今回学んだエンジニアリングとChatGPTと組み合わせて業務でどのようなことができるのか考えている最中です。

ーー今後の目標はありますか。
エンジニアリングを学び実務で活用しているマーケターのロールモデルを目指したいと考えています。 これから学んだことを活かして、実現させたいソリューションやアプリケーションで正しく要件定義を行ったり、エンジニア側のことを意識したコミュニケーションがうまく取れるようにしたいです。受講したことである程度システムなどの理解が深まったため、エンジニアとのコミュニケーションする上での説得力も増すのではと期待しています。

ーー受講を検討しているマーケターの方へメッセージをお願いします。
新規事業の立ち上げを目的にエンジニアがマーケティングを学ぶということはかなり多い一方、マーケターがプログラミングを学ぶという話はあまり聞かないように感じます。 このままだといつかマーケターは仕事がなくなるかもしれないという危機感を持つべきです。 マーケターがプログラムを実行できたり理解することができればより良いサービスができると思います。なのでマーケターこそエンジニアリングを学ぶべきだと思います。

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